「ヴィンランド・サガ」の主人公のお姉ちゃんが可愛い理由をのべる。

こんにちは、宮本一二三です。
NHKの恐竜番組のついでに録画をはじめ、私にとってはノーマークかつ初視聴だったアニメ「ヴィンランド・サガ」だったのですが、ぜんぜん前情報もなくスッゲー面白い作品に当たったときって「ひさしぶりのご馳走だあぁぁぁあ!!」(ヒャッハー)みたいな血湧き肉踊る感覚におちいりますね。
(恥ずかしながら「ヒストリエ(こちらも未読)」と印象が混ざっていたことを告白しておきます。ああ恥ずかしい!)

記事タイトルはじゃっかん(?)フザケタ感じですが、ここからは「ヴィンランド・サガ」の物語の構造やキャラクター配置のどこが的確でスゴイのかを私なりに分析したものを書いていきますー。
3話まで見たのでそこまでの情報にとどめます。3話以降の感想についてはしばしお待ちください。

サラッといけそうな部分はサラッと書くことにつとめますが長文確定です。
よろしくどうぞ。

◇ 物語の構造のスゴイところ ◇ 

まず、わかりやすくスゴイところは世界知識というか当時の異国の風習文化を自然に見る人にわからせるように「適度に織り交ぜる」ところです。
フォーマットのない世界観の物語はこの作品単独で闘う、という覚悟がないと出来ません。
物語を語るに必要な情報を既存作品に頼らず自作内で完結して語る能力が必要になります。

異質な世界観だと世界観を中心に語りたくなり、主人公じたいの物語をないがしろにしがちなんですが、そういうこともなくちゃんとトルフィンの物語、になっています(この辺はくわしく後述します)。

この作品の一番スゴイところは、「あるていど物語を読む人にも、ぜんぜん物語を読まない人にも、それぞれに対応しており物語を面白く見せる」ところにあります。
ミヤモトはけっこう平均より物語摂取は多いほうと自負しておりますが、ぎゃくにそこを突かれてミスリードやタイミングの外しをされていて(アニメ2話冒頭で一瞬主人公の村が襲われているのかと思ったが、のちのちその状態に村が陥るかもよ、という不安感を呼んでいる)、その小気味よい読みちがいがすごく心地いいです。先読みがぎゃくに不安感をあおる仕様。脳に気持ちいい。

二番目にすごいところは「主人公のトルフィンを6さいの少年でだした」ところでしょうか。
これはけっこう描き手としてはむずかしいことで、読み手より主人公が年下だと行動や思考の幼さ(短慮で自爆したりするので、読み手によっては主人公にヘイトが溜まってしまう)から感情移入をさせるにはむつかしく相当のテクニックが要ります。

「ヴィンランド・サガ」の場合、トルフィンの幼さを補うのに「父親のトールズ」を男としてひたすら内面も外見も行動もカッコよく描き、受け手の感情移入(憧れ&共感)をそちらに惹きつけていますね。
あとやはり重要なのはお姉ちゃんのユルヴァがトルフィンがおかしな行動をとろうとすると的確なツッコミもとい教育的な指導を入れるところです。
「お前ちょっとやりすぎだろ!」ってときにツッコミがあるのとないのとでは受け手の感覚の良し悪しは段違いです。
お姉ちゃんの重要性についてはキャラ配置の分析でのちに語ります、しばしお待ちを。

また、漫画ではだいたい当たり前にやられていることなんですけど、1話目で「主人公の性格描写、信念、最終目的」を明示していてものすごく物語の世界観が理解しやすかったです。
私は事前情報もなく主人公のビジュアルをまったく知らずに見ていたんですけど、作品内のカメラがトルフィンを追っていて、1話目から「ヴィンランド(楽園)」への憧れ、「偉大な父(理想像)への憧れ」、「外界(海)への憧れ」を口にしていたのであちらこちらに時系列や場面の変換はあったものの、ああ彼が主人公なのだな、というのがわかりやすかったです。
この当時、トルフィンが6さいで無力な子供ってのもすごく考えぬかれて設定されているんですよね。

自分に足りない物への渇望感ってのはトルフィンがお姉ちゃんの年(15歳)では巧く表現できません。


◇ ホントキャラ造形巧いな、と思う ◇ 
2019-08-05 kansou00
「ヴィンランド・サガ」はキャラクターの配置にも無駄がなく、トルフィン一家だけでもすごく考えられて描いているのがわかります。
トルフィンが一人っ子だったり兄がいたりだと物語構成がなりたちません。
順を追って説明しますと、トルフィン一人っ子だと15歳でも6さいでも父親のトールズ以外のストッパーがいなくなります。
あの喧嘩っぱやくて火の玉みたいな聞かん坊トルフィンがそのまま野に放たれてしまう(彼の行動力で15歳だと勝手に船に乗ってっちゃいそうだ)。ぜんぜんちがう話になってしまいますよね。
兄がいる場合、これも兄の性格やスペックにもよりますが、偉大な父親への憧れより先に「兄をだしぬくこと」に意識が分散されてしまい、物語の主軸がぶれてしまいます。よってコレも×です。弟妹を置くのもそこまで物語には関与しないしキャラクターの情報量が分散しますので初手からいれません。

ちょっとキャラクターの情報をトルフィン家族だけまとめてみます。

トールズ……偉大なる戦士。かつてはヨーム戦士団を率いており、首領の娘ヘルガと結婚。
      (首領の娘を娶るってことは後継として期待されていたってことですね)
      娘のユルヴァを授かり命への畏敬からか人を殺めることに恐怖感を抱き事故死を装う。
      ヨーム戦士団から生存を疑問視されていたが15年間辺境の村に妻子と隠れ住んでいた。
      (主人公の戦士に対する憧れ、乗り越えるべき目的、外界への意識づけに重要なキャラ)
      黒髪・色黒の肌・巨躯で、子供たちとはあまり似ていない(太眉くらい?)。

ヘルガ………トールズの妻。病弱ながら娘のユルヴァ、息子トルフィンに恵まれる。
      (姉弟の年齢差9歳な部分でトールズが彼女の体を労わっていたのがわかる)
      (影は薄いものの、トールズの思考の変化と状況の変化には重要な人物)
      金髪碧眼で姉弟の造形はほぼこちらに影響されているぽい。

ユルヴァ……トルフィンの姉。ポニーテールに三つ編みをアレンジした凝った髪形をしている。
      (貧しいながらオシャレをする余裕があることを匂わせていていいと思う)
      産まれたとき父親から「なんだ女か」みたいに言われ猫めいた持たれかたをしていたが
      すくすく美人に育つ。たぶん未来トルフィンが荒まなかったら姉似の優しげイケメン。         
      (当時の西洋は家督は男が継ぐのでトルフィンにライバル視されず、かつ画面の潤いと
      ツッコミと明朗快活さで作品内に華をあたえる重要なキャラクター)
      (男ばっかりのむさくるしい本作品では本当に華。お姉ちゃん可愛い)

トルフィン(幼)は、髪型がお坊ちゃん刈りで女手の入った髪型で服装もカッチリと着せられており表情も素直で一家が大事に育てているのが一目でわかるようになっており、トルフィン(青年)は髪の毛ボッサボサで目が荒んでおり衣服もボロボロでダガー二本持ちでたぶん小柄さを生かした戦法なのだなーというのが一目で示唆されていて、キャラクター造形素晴らしいです。
見た目でキャラクターを理解できるように描くと、よけいな台詞なんかの説明をはしょれるんですよね。
トールズを魅力的な父親に描くことは成功しているため(村以前のヨーム戦士団にいるときの無骨で妻に思いやりのなかった部分もふくめ)、彼で受け手の意識を惹起して、なおも情報量や文化説明で足りない部分を商船をあつかい外海への情報のあるレイフを関わらせることで、世界観の広がりや深みを得ています。

もっとツッコんだ書きかたもできそうですが、今回はここまでにします。
おつきあい有難うございました。



◇ 8月9日のミヤモト ◇ こちらにこの内容を置く意味は察してください(遠い目)。
東映公式が配信している、YOUTUBEの「侍戦隊シンケンジャー」の先週のギリギリ配信になんとか間にあって、モンダイの44話を見たんですけど、初見でほんのりと正体を察してて、展開を知っているとしてもここからの丈瑠の話はつらいんだよな……と遠い目になります。

スタッフがどのていどまであのどんでん返しを知っているかわからないんだけど、OPの丈瑠と家臣が刀で分かれている部分とか、ちょっとした伏線の使いかたとか、ものすごく巧いんですよねシンケンジャー。
再度見て面白いのはすごい。

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